AzuuとPintが当店のキャラクターになるまでのお話です。

はじめまして。AzuuとPintです。
ぼくたちのなわばりに、最近、黒色と銀色の建物が建ちました。
前から気になっていたので、ついこの間、様子を見に行きました。
黒い引き戸をそーっと開けると、左にカウンターがあって、女の人が誰かと話してました。
ぼくたちは気づかれないように入ることに成功し、右の方に行ってみました。
すると細長い通路があって、そこには上からお日さまの光が入ってきてて、とても明るかったです。
いったいココは、何の建物なんだろう?
「はーい、こっち向いてー」
おや?奥から男の人の声がしたぞ。ぼくたちは、さらに奥へ、男の人の声がする方へ行きました。
細長い通路を突き当たり、左に曲がると、ありゃー、トビラが閉まってるよー。
このトビラの向こうはなんだろう?気になるなあ。
ぼくたちは、しばらく待ってみることにしました。
何分か経って、突然トビラが開いたと思ったら、人間の子どもが飛び出してきました。
ギャーッ!!
とっさにしゃがみ込むことしかできなかったんだけど、なんとか踏まれずにすんだみたい。
と、ほっとしているのもつかの間、誰かがぼくの首根っこをつかんで体を持ち上げました。
どうやらその人はさっきの男の人みたいで、じーっとぼくのことを見つめていました。
頭なでられたり、のどをコチョコチョされたりしたけど、初対面の人にゴロゴロ言うほど媚びたりはしないタイプなのさ。
そんなことより、ピントはどうしたんだろう?のどをコチョコチョされながら周りを見渡したんだけど、いないなあ。
それにしてもこの人、いつになったら解放してくれるのかなあ?絶対ゴロゴロ言わないんだけど。
だっこされたまま、さっきまで閉まっていたトビラの向こうに行きました。
そこはとっても広くて天井も高くて、ぼくらの寝床、と言っても空き地なんだけど、そこよりも大きい感じがしました。
男の人はぼくを床にそっと降ろしました。そしてさらに奥の方に歩いていって、カーテンを開けました。
逃げようと思えば逃げれなくもなかったんだけど、どういうわけかその場にいることにしました。
カーテンに続いて大きなトビラを開けると、小さなテラスみたいなところに出るみたいです。
そこにはケヤキの木が風でゆらゆら揺れていました。それにしても、ピントはどこに行ってしまったのかなあ?
「ちょっとー、来てー。」女の人の声がしました。
男の人が声のする方に小走りで行ったので、すかさずついて行きました。
すると、ピントがカウンターの上にあったキャンディをいっぱい頬張っているじゃないですか。
そこらじゅうにキャンディの袋が散らばっています。
「おひとつどうぞ、って書いてあるのにねぇ。」「て言うか、鳥ってキャンディ食べるっけ?」
結構大事件だと思うんだけど、妙なリアクションをするここの住人はちょっと変わってるのかなあ。
キャンディでおなかいっぱいになったピントは、あっさり女の人に拾い上げられました。
すっかり寝てしまっているようです。それにしても、ピントの寝息は甘いにおいがするなあ。
そう思っていたら、男の人がお皿に水を入れてぼくの前に置きました。
よく考えると昨日から何も食べていないのでした。
それでも、いつものぼくなら誰かに出されたものには手を出さないんだけど、なぜかこのときはその水を飲むことにしました。
相変わらずピントは女の人に抱っこされて熟睡しているようです。ピントってこんなんだったっけ?
上目遣いでピントを見ながらお水を飲んでいると、お客さんが入ってきました。
「キャー!かわいいっ!」
ものすごい勢いでぼくのところまで来ていきなり抱っこしました。どうして人間ってすぐに抱っこするんだろう?
どちらかと言うと抱っこは好きじゃないんだけどなあ。
だいぶ時間が経ちました。そろそろ帰らないといけないなあと思っていたら、ピントがやっと目を覚ましました。
「ピント、そろそろ帰るよ。」
「帰るって、どこに?」
「どこって、いつもの空き地に決まってるじゃない。」
「え~、ここに住んじゃおうよー。」
「え?」
「だって、この家いっぱいキャンディあるし、雨が降っても困らないし、居心地いいじゃない。」
「そういう訳にはいかないでしょ。」
そんなやり取りをしていたら、突然強い雨が降ってきました。
「ほらね、雨降ってきたよ。」ピントが見透かしたように続けます。
「アズーはネコだから濡れるの大っ嫌いだよね~?」
「・・・」
「とにかく、ぼくはここ気に入っちゃったから、ここに住むね。」
「え?」
いいでしょう?と言わんばかりにピントはここの住人を見上げました。するとふたりはニッコリぼくらを見つめています。
うーん、住んでもいいなら別に無理に出て行くこともないのかな?と思ったりするぼくでした。
ピントはすっかりここの住人のつもりでいるし、だからと言ってピントを置いて自分だけ出て行くわけにもいかないし。
自分で言うのもなんだけど、ぼくはその辺のネコとは違って結構筋を通すタイプ。
ピントはさておき、一方的にお世話になるなんてとんでもないと思ってしまうのです。
そこでここの住人に尋ねてみました。
「ピントがここを離れないと言うので、行きがかり上ぼくもお世話になろうかと思っているのですが、それは構わないのでしょうか?」
ニコニコして抱っこしてきたので、これは構わないということだな。
「ただし、一方的にお世話になるのはぼくの本意ではないので、役に立ちたいと思っています。」
相変わらずニコニコしてるから話は通じてるみたいだな。
「店番くらいはできると思うので、お手伝いさせてください。」そう言うと、ぼくの頭をなでてくれました。
ぼくたちがこの店の住人になってから数日後のこと。
ご主人さんがぼくたちを呼んだので行ってみると、新しい看板が出来上がっていました。
そこにはなんと、ぼくたちそっくりの絵が入っていました。
ぼくたちを認めてもらったみたいで、なんだかとてもうれしい気持ちになりました。
他にも、ぼくたちの似顔絵が入った焼印とか、スタンプカードとか、お店のいろんなものがぼくたちでいっぱいになりました。
これからもご主人さんのために頑張らないといけないな、と心から思ったのでした。
これからもぼくたちの応援をよろしくお願いします。
おしまい。